教育のチカラ -5ページ目

【講師@オンライン】

研修が軒並み中止や延期になり、
仕事を失った講師は、
オンラインでの仕事を余儀なくされている。
 
これからどんどん、画面上でのやり取りが増え、
集合研修が少なくなっていくらしい。

 

さて、
研修はZOOMなどを使って行うことはできるのか?

できる研修もあるかもしれないが、
集合研修のレベルには到達はしないだろう、
と僕は思う。

 

説明会、講演会といった、
比較的一方通行のものなら、導入しやすい。
インタラクティブといっても、
せいぜい、手を挙げさせるとか、
コメントさせる、くらいだろう。
 
この間、人気のオンライン研修を覗いてみたが、
結局は相手の顔が見える程度でしかない。

発言を促しても、なかなか反応はないし、
反応したとしてもスピーディなやり取りはできない。
機器のトラブルも頻繁に起こる。

 

一番の問題は、相手の顔色を伺えないこと、
全体の雰囲気の波を感じ取れないこと。

なので、お互いに遠慮し合って、
無理やり盛り上げようと気を遣う。
参加姿勢にかなりの前向きさを求められる、
それがオンラインだ。

 

つまり、その場の雰囲気を掴みとる能力よりは、
懸命に気を遣って盛り上げようとする講師と、
それに応えてノリの良い体で参加する人たちが、
苦肉の策でやっているように見える。

 

コンテンツありきで、
講師のスキルはさほどなくても、
前向きな参加者が集客できれること。
この場合はオンラインはありだ。

 

会社のミーティングもいけるだろう。
アンソニーロビンス的な自己啓発講習もいける。
新人研修もギリ大丈夫だ。

 

しかし、
入社数年経って各自の状況も様々な場合や、
お互いに探り合いが起こりやすい幹部研修などは、
オンラインでどこまで参加者が胸襟を開けるか?

 

講師も、講習が得意な人は馴染むだろう。
しかし、インタラクティブな研修が得意な人は、
なかなか力を発揮できないかもしれない。

 

ま、研修が今後どんどん講習化して、
人と人が切磋琢磨というよりも、
「システム上で効率よく学ぶ」という感じに
社員教育自体も変わっていくのかもしれない。

 

そもそも、テレワークが主流になれば、
対面で会うことも少なくなるだろうから、
その際に必要なスキルを学ぶ理由もなくなるだろう。

 

【新入社員研修】 

もう長い間新人研修をやっていません。
限定された時期に数多く開催される新人研修は、
新人講師デビューの場でもあり、
同じ内容を同じ時間でやることが大事。
だから、
講師のテクニックを披露することはダメで、
とにかく型どおりに行うことが肝要。
 
なので、
新人研修は新人講師に譲り、
行うとしてまとめ段階の研修くらいでした。
 
マナーや心構え的なものはやらず、
配属前、これから始まる社会人生活で、
必要なことを諭すような研修です。
  
ところで、今年はコロナ。
新人研修をどうするか?
それは多くの人事部の悩みの種だったでしょう。
 
やらずに配属させるわけにもいかないし、
ネットだけで完結できるものでもない。
 
学生側にしても、
内定取り消しを心配し、
学生最後の春休みをどう過ごすか迷ったでしょう。
  
若いから大丈夫と、
花見したり、ライブに行ったり、
中には強引に海外に卒業旅行に行った人もいるはず。
  
それを正直に企業に伝えているかと言えば、
それはかなり怪しい。
現状、症状でも出ていない限り、
それは言わないで済ませようと、
入社早々のペナルティを避けようとするはずです。
 
ちゃんとしている若者もいれば、
そうじゃない人もいる。
面白いのは、
そうじゃない行動する人の中に、
会社を変えるような発想をする人が出てきやすいこと。
 
なので、会社は、そんな彼らに、
仕事という機会を通して意識を昇華させ、
良い人材に変えて行かないといけません。

新人研修は、
会社が最初に新入社員とかかわりを持つ機会。
特に、配属先に送り出す前の研修。
彼らの記憶に残るものにしなければなりません。
 
おそらく、彼らが自覚を持って揃うのは、
数年後の階層別研修。
それまでの間、彼らが踏ん張れるような研修を、
配属前にしてあげてください。

痛いところを突く

 

 

前回、研修の理想を書いた。

今回は、受講生との向き合い方について。

  

前提として、

講師と受講生は初対面。

研修時間も1日または2日の限定。

 

予定調和の仲良し研修では、

受講生は変われない。

時に講師は、

彼らの痛いところを突き、

厳しい態度で接しなければならない。

 

しかし、下手に彼らを傷つけたり、

怒らせたりしては、逆効果だ。

彼らは殻を被って、その場をやり過ごしてしまう。

 

若い受講生には、

講師と彼らの圧倒的な力の差を

見せつけることが有効だった。

「この講師には何をしても無駄。敵わない」

そこまですると、彼らは興味を持ってくれる。

 

一方年配で役職者が受講生になると、

プライドはあるし、恥もかけない。

さらには、彼らの本業においては、

講師よりはるかに知識も経験も豊富だ。

  

そんな時は「力の差」ではなく、

「研修を行う意味」を軸に攻めていく。

 

何故、私たちは今、ここに集められているのか。

  

あらゆる角度から、考えさせることで、

彼らを掌握することができる。

 

そのためには、絶対的な準備が必要

全ては、最高と思える研修を実施するために。

 

【劇場研修】

 

研修のプログラム作りで、
何故毎回悶々と悩むのかと言えば、
尖がったプログラムにしようと思うからで。
 
でも、実際は、
受講生の状況やレベル、
研修会場の設備や広さ、
事務局の好みや理解、
と言った変数が沢山あるので、
思った通りに実行するのはとても難しい。
 
なので、大半の講師や研修会社は、
まさに「無難」なプログラムを作る。
 
受講生の意識が低くても大丈夫。
事務局に特別想いがなくても大丈夫。
研修会社ならさらに、
講師のスキルが低くても大丈夫。
な、プログラムを作る。
 
でも、研修は生ものであり、
受講生の変化と共に、
現場でどんどん進化していくべきもの。
そう考えると、
「余計なことは起こさず終了する」
よりも、
そこに様々なドラマや軋轢が生まれた方が、
研修としてはずっと価値が高いだろう。
そう考えてしまう。
 
でもそれは、危険でもある。
軋轢から学級崩壊、のようになってもダメ。
研修慣れしている受講者が、
物わかり良さそうに見えて、
実際は胸襟も開かず本音も出さない、
そんな研修になってもダメ。
 
「無難」な研修にしないためには、
講師の力量も必要だし、
でも何よりも、
どんな展開になっても大丈夫な準備と、
短い時間で研修の世界観を構築し、
受講生を巻き込んでいくだけの設計が必要。
 
まさに圧倒的な迫力で研修という物語に、
受講者を没頭させる「劇場研修」
プロローグは講師が主役で物語を引っ張るけれど、
最終的には受講生全員が舞台に上がり、
気づけば彼らが主役になっているような研修。
 
それが僕の理想なのだけど、
毎回その理想を追いかけるあまり、
苦しく楽しい悶々時間を過ごすことになる。
 
内容が詰まっていくなかで、
そこに、研修時間や参加人数という変数を加味して、
最終的に、実施可能な研修を創る。
 
出来た時は、大きな満足感。
  
ただ結果的に、
研修の大部分が、
「これって、自分にしかできない」
そういうものになってしまう。
「ここはこんなふうにやって欲しい」
と、あらゆる項目で説明できるけれど、
それを聞いた人が、
「それって、本当にできますか?」
と聞かれると、自信がない。
 
僕ならできるけど・・・。
と答えている時点で、それが自分の限界。(笑)
 
でも、誰にでもできるような研修を、
わざわざ作って、自分がやることに、
興味を持てないから仕方ない。。。
 
さて、昨日一昨日と夜なべをしたことで、
ちょっと喉がイタイ。
後は、リハーサルと体調管理をしっかりやろう。

 

 

研修のノリシロ

通常、研修会社が作るカリキュラムは、
スケジュールが分刻みです。
次々とやることが決まっていて、
時間通りに終わるように設計されています。
 
その理由は、
まず、クライアントが喜ぶような研修内容を
沢山取り入れるため。
次に、講師に余計なアドリブをさせないため
 
最初の理由はわかりやすいですね。
コストのかかる研修、クライアントとしては、
できるだけお得になるようにしたいから。
 
しかし二つ目は研修に詳しくないと、
わかりにくいかもしれません。
講師が自分の経験を踏まえてアドリブを出すことは、
むしろ喜ばれるのではないか、と思いますよね。
 
しかし、研修会社がそうしないのは、 
アドリブを成功させられる講師が少ないから。
それに尽きます。
 
講師の勝手な解釈や武勇伝を並べて、
研修の内容に反目したり、流れを止めたり。
研修にマイナスになりかねないから、
余計なことをさせないように、
研修メニューを分刻みで作りこみます。
 
いや、一応、研修会社は講師に対して、
自分の経歴を臨機応変に語ることを
表向き歓迎はしています。
しかし、研修目的が果たせることや、
時間通り終了することの方が重要だと考えます。
だから、講師のスキルを見ながら、
講師が研修内でやっていいことを決めています。
 
そして、残念なことですが、
講師のスキルにはばらつきがあり、
経験も様々なことから、
結局、分刻みのカリキュラムで保険をかけるのです。
  
もしあなたが、企業の人事部に属していて、
研修をどこかに依頼したとして、
相手が、盛沢山で細かいカリキュラムを出して来たら、
講師のレベルがそれほど高くない、
と疑ってみる必要があるかもしれません。
 
逆に、ノリシロが多いカリキュラムの場合、
そのノリシロを、
講師が現場で受講生とのやり取りで埋められる、
それだけ力のある講師
が担当している、
ということが考えられます。
 
研修会社も講師も失敗できません。
にもかかわらず、
現場でのやり取りというような、
不確定要素をカリキュラムに盛り込めている
ということは、それだけ自信があるのです。