【先生という呼び名】
なんでもない人でも講師を始めると、
「先生」と呼ばれるようになる。
中には、その呼び名がくすぐったくて、
「名前で呼んでください」
と謙虚そうに振る舞う人もいる。
私も最初は先生と呼ばれるのが、
小っ恥ずかしかった。
まだ先生と呼ばれるような人間になっていない。
そう思っていたから。
でもそれは違うとすぐに気づいた。
「先生」という呼び名は、
呼ばれる人のためにあるのではない。
先生と呼ぶことで、生徒になれる。
「学ぶ姿勢、学ぶ覚悟」を持つためにある。
つまり、呼ぶ側のための言葉なのだ。
そして先生と呼ばれる側は、
その生徒の覚悟を受け止めて、
先生としての責任を全うする。
それが先生という呼び名の価値なのだ。